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人事視点でとある部署の業績を回復したはなし

みなさんこんにちは。ショーゴです。

前回noteを始めてみるのにあたって自己紹介エントリを書いたのですが、気づけばとんでもないボリュームになっていました苦笑
これからはほど良き容量でお届けします笑
今回は以前に人事である僕がとある部署の業績をちょっとしたアクションで回復させてしまったという話です。

組織の悩み、ほとんどは人間関係

企業・自治体など様々な場所で研修講師をしていて、研修後の懇親会などでよく相談されることは「組織づくり」についてのお悩みです。
詳しく話を聴いてみると、ほとんどのケースで共通しているのはその中身は「人間関係のもつれ」によるものだということ。
組織はひとりひとりの人の集まりで出来ているので、組織の不具合もまた人に起因するということですね。

組織における人間関係トラブル3大原因

そういった相談を受けた際、詳しい内容をお伺いしてみてこれまた共通しているのは組織内の人間関係トラブル原因は大きく3つのいずれかもしくは複数が絡み合っている場合がほとんどです。

1)相互理解不足
表面的に仲良い・知っている風だけど実は深いところはお互い知らず、それぞれが想像で決め付けている(噂の蔓延などもこれ)

2)未知の恐怖
管理職層は若手の、若手層は管理職の価値観を知らず、知ろうともせずに自分たちのルールや価値観で判断してしまう

3)心理的安全性の欠如
発言や発信をすることによって評価に影響がある、または噂になったり仲間外れにされるためにみんなが互いに腹を割って話せない

不採算部署で実際に起きていたこと

これは僕が実際に体験した話です。(コロナ禍になる前の話です)
社内でとある部署の業績が悪化していたことがあり、幹部会議で話し合いが行われました。話題は業績悪化の原因分析。
生産部門の幹部から出た意見はいずれも「販売しているサービス」に関するものでした。
・商品の質が良くないんじゃないか
・売り方、販促が良くないんじゃないか
大きくは2つの方向性であーでもないこーでもないと話し合いが行われ、新たな打ち手を試すものの。翌月、その翌月も業績は回復しませんでした。

その話を聞いた僕はある日の幹部飲み会で「人事からも見てみてもいいですか?」と幹部たちに伝えたところ、「別にいいけど、意味ないと思うよ。」「人事が見て何が変わるの。」などと口々に意味がないと言われた(飲み会でお酒入っていたからみんなホンネでズバズバw)のですが、気にせず介入することにしました。
というのも、僕にはひとつ心に引っかかっていたことがあったからです。

結論:人事の介入後、業績は回復。

しかも、たった2ヶ月で。
一体何があったのか。
僕がやったことは「問題の部署(拠点)があるエリアに2泊3日で出張し、人と話をした」ただそれだけです。

1泊目の夜。
部署トップも含めた管理職層を集めて飲み会をしました。

2日目の夜。
新卒中心に若手メンバーだけを集めて飲み会をしました。

どちらの飲み会でも美味しい料理とお酒を楽しみながら、ざっくばらんに「最近どう?」的な話から広げて部署内で起きていること・背景を確認して行きました。

それぞれの言い分

1日目の夜。
管理職層の飲み会では若手メンバーに対する不満が噴出しました。
・覇気がない
・やる気を感じない
・なんか浮ついている
・気持ちが入っていない
など
メンタル面の問題点がたくさん上がり、
これらを何度指導しても直らない。どうやって是正したらいいですか。といった相談がほとんどでした。

2日目の夜。
管理職たちからやる気がない・覇気がないとこき下ろされていた若手メンバーたちと飲んで話してみると…
全員一致で最近悩んでいることとして1つの悩みを相談されました。

「上司・先輩たちが約束を守っていない」

実は、会社として大切にしているクレド(理念のひとつ・行動規範)に「時間と約束を守る」という文言が入っており、内定者時代の合宿でも、入社時研修でも常に「5分前集合」を徹底していた経緯がありました。
しかし、その部署に配属になってみると…
・トップが会議に遅刻してくる
・責任者クラスが打ち合わせに1分遅刻してきて謝りもしない
・約束していた面談を当日忘れている

といったことが多発しているそう。

「この会社って、時間と約束を守ることを価値観として大切にしているんじゃなかったんですか」
彼らは口々に言いました。
その顔は深刻で、泣き出す人もいました。

些事の軽さと理念の重み

もしかしたら幹部クラスからすると、そんな数分の遅刻やちょっとした約束漏れなんて、些事だと思っているのかもしれません。
でも、彼らはひとつ大きな勘違いをしていました。

世間一般では些事だったとしても、
この会社においては「理念」だということです。

理念とは会社にとって絶対的なルールであり、アイデンティティとも言える価値観です。
求職者、とりわけ新卒入社する人にとっては自身の価値観とのマッチングをはかる大切な要素で「理念に共感したから」という理由で志望する人も実際多いです。

「時間と約束を守ろう」
そう理念で誓っている会社、そしてそこに惚れて入ってきた人にとって、自部署の先輩・上司・トップがそれを守っていないという現実はモチベーションダウンするには十分すぎる理由です。
これが、若手層がやる気を無くしていた原因でした。

3日目、謝罪。そして。

3日目の朝。
初日の夜に飲んだ管理職層を全員集め、事の顛末を全て話しました。
僕の手元にはメモが。

「Aさん、○月○日の係MTG、何時に来ましたか?」
「Bさん、○月○日の拠点会議、何時に来ましたか?」
「Cさん、○月○日の〇〇さんとの面談、何時に来ましたか?」
・・・一人ずつ問いかけていきました。
すると、みんな一様に
「え?いや、普通に参加したはずですけど」という反応。

「Aさん、○月○日5分遅刻。Bさん、○月○日10分遅刻。Cさん、○月○日の面談忘れていて無連絡。・・・」
僕が続けて読み上げていくと、管理職層のメンバーの表情が変わっていきました。

「これが原因です。若手が言うことを聞かない、そうおっしゃっていましたよね?そりゃ言うこと聞きたくなくなりますよ。みなさんが約束守ってないんだもの。しかも理念で規定していることを。みなさんの目線から見て、若手はやる気なく映っていたのかもしれません。でも実際は逆です。みなさんの気の緩みややる気の無さが時間と約束を守らないという形で表れ、みなさんが若手のやる気を削ぐ原因を生み出していたんです。」

「この後、全員を集めてください。そして、謝罪してください。」
「みんなに謝って、二度と時間と約束を破るようなことはしない。そう約束してください。それが確実に履行されれば、業績は回復すると思います。」
そう伝えました。

翌月末、業績回復。

管理職たちは心を入れ替えて約束をしっかり守りました。
結果、当該部署は翌月末に目標を達成。業績は回復しました。

なんでそんなことで。
そう思うかもしれません。

でも、組織は人がつくっているんです。
一人ひとりの人が集まってチームになり、組織を構成している。
その一人ひとりの人がみんなやる気をなくせば、いとも簡単に業績は下がります。

お客様の視点で考えてみてもそうですよね。
何を買うか、は大切ですが、同じくらい大切なのは
誰から買うか。

明らかにやる気のない店員から買いたいと思うか。
買わない人の方が多いのではないでしょうか。

もちろん、商品の品質や販促、または競合や市場の動きが原因で業績が下がるケースはあります。
ただ、もし競合や市場の動きが特になく、商品の品質・販促も特別変わっていなかったとしたら、そういう時はほぼ「人間関係で何か起きている」と僕は人事の視点で思う次第です。

今回は人事視点から見た、業績と人間関係の連動性についてまとめました。
参考になりましたら幸いです。
では、最後までご覧いただいてありがとうございました。

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