「自分、本番に強いんで。」
仕事をしていると、こう豪語する人に時折出会います。
それはその人の自己認識だし、成功体験が生み出している自信でもあるのだろうから文句はありません。
ただ、僕はこう思います。
「本番に強い」は結果論に過ぎない。
今回は社会人として仕事を進める上で大切なことのひとつ、「段取り」についてまとめます。
先人に学ぶ「仕事の基本」
社会に出て働くのにあたって、どんな仕事でも大切な基本があります。
よく言われるのは「ホウレンソウ」。
報告・連絡・相談の頭文字を取ってそう呼ばれていますね。
でもこれって、入社時に研修とかでやるようなことじゃないだろ、って僕は思っています。
仕事の基本って言うより、社会で生きていく上で当たり前にみんなやってきたことじゃないかなと。
ホウレンソウが出来ていない人は「信頼」を築けず、友達や仲間が居なくなる。
人事の目線で見るとこれは採用する前の選考段階で見ていることです。選考についての連絡やり取り、そのレスポンス、疑問点や不安の解消を自ら発信するか、など。
そもそもホウレンソウが出来ない人を採用したくないのが本音。
では、仕事人としての基本とは何か。
先人が残してくれた代表的な教えやフレームワークをふたつ見てみましょう。
■守破離(しゅはり)
武道や茶道など日本古来の「道」において大切にされてきた、守破離。
語源は諸説ありますが、あるひとつのことを追求するときに歩むべき過程を説いた言葉で今では伝統芸能だけにとどまらず、スポーツやビジネスの場面でも成長への指針として有名です。
●「守」
⇒ 師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階
●「破」
⇒ 他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階
●「離」
⇒ 一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階
僕自身、今でも新たな仕事に取り組む時には守破離を大切にしています。
前任者が後輩だったとしても、最初はまずその人のやり方を習い、メモを取り、その通りやってみる。しばらく繰り返した後、改善出来る点を探して、アレンジする。
そのうち今までとは全く違う価値観の手法を試したり、システムを入れたり、場合によってはその仕事自体を廃止したり、と順番に進めていきます。
■PDCA
第二次世界大戦後、品質管理を構築したウォルター・シューハート、エドワーズ・デミングらが提唱した、主に生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。4つの段階を繰り返し回すことで業務を継続的に改善することができます。
「P」Plan(計画)⇒「D」Do(実行)⇒「C」Check(評価)⇒「A」Action(改善)
どんな仕事でも思いつきで進めたり、やりっ放しで終わっていてはうまくいきません。
PDCAのサイクルを常に、かつ早く回すことでより高い成果に繋がっていくと僕自身もこれまでの社会人経験で実感しています。
大切にされてきた「模倣」と「計画」
「守破離」と「PDCA」。
何かに取り組む際、大切にすべきことにはある共通点があるのにお気づきでしょうか。
守破離の「守」⇒模倣
PDCAの「P」⇒計画
まず過去のやり方に倣ってやってみる。事前にシミュレーションしてみる。
とりあえずやってみる、のではなく、事前の「段取り」を大切にしているのです。
「えー、そんなのめんどくさい!」
そう思いましたか?
しかし、ビジネスの場面では段取りを省いて進めると、余計に面倒な事態に発展するケースがよくあります。では、なぜ段取りが大切なのでしょうか。
緻密な段取りは自身を鼓舞する
僕は何かに取り組む際、徹底的に段取りしなければ気が済みません。
でも、僕は昔からかなりの「めんどくさがり屋」です。
なんでめんどくさがり屋の人が段取りするのか、疑問に思われるかも知れません。
でも僕はむしろ、面倒くさいからこそ徹底的に段取りしています。
なぜかというと、
●早めに計画することで、自分以外の人にも仕事を振ることができる
⇒自分でやる事が減って楽になる
●過去の事例を押さえ、未来の想定をしておくことで本番でのトラブル確率が下がる
⇒本番当日のイレギュラー対応がなくて楽になる
●とはいえ本番で上手くいくかなんて、やってみなくちゃわからない不安がある
⇒徹底的に準備したという事実が不安を取り除き、自身を鼓舞することに繫がる
例えば、大切な事業のプレゼン。
スライドを用意し、あとは自分のトーク力で何とかなるだろ、と自信満々で当日を迎えました。取引先に到着し、プレゼンの準備をしようとすると……
スライドのデータを入れていたUSBメモリーがない!
今から会社に戻っていたらプレゼン開始に間に合わない……
仕方がないので「ご自慢のトーク力のみ」でプレゼン。
結果、企画は却下。。
事前に一度チェックしていればすぐに気づけたのに、慢心から手抜きをし、より大きなトラブルに発展してしまう。こうなってはもう取り返しがつきません。
本番のタイミングでは時間も動ける人も限られてしまいます。
万が一イレギュラーが起きた際に解決出来る確率は事前の段取り時に比べ、かなり低くなるのです。
ただ、どこまで準備してもイレギュラーが起こる可能性を完全に排除することは出来ません。
ならば、限りなくその確率を低くすることが成果を上げられる可能性を高めることに繫がるのではないかと僕は考えます。
段取りさえしっかりしていれば、あとはやるだけです。
仕事は成果を上げてなんぼ。
どんなに頑張ったとしても成果が出なければ、評価してもらえません。
成果に繫がる可能性を高め、自分も楽になる「段取り」のチカラ。
僕と同じめんどくさがり屋さんこそ、是非一度トライしてみてもらいたいです。
結果的に「今までより楽になったー!」と実感出来るはずですよ。
参考にしてみてくださいね。
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